2010年9月7日火曜日

社会不安障害

社会不安障害(社会恐怖)とは、社会や 人前でマイナスなイメージで批判されたり、他人に辱められる事に対する恐怖感を主な症状とする精神疾患のことですね。

・恐怖症の中で社会不安障害は最も一般的で、生涯有病率は3 ~13%と言われていて、決して稀な疾患ではありません。
・世代を問わず発症しますが、特に思春期に多くみられ、不安障害の中で最も発病年齢の低い病気と言われています。
・30~40代になって管理職(責任ある立場)になり、人前で話さなければならない機会が多くなることがきっかけで、発症するといったことも珍しくありません。
・若干、男性が発症する割合が多いものの、大きな男女差はありません。

・症状は、パニック障害と似ているところもありますが、パニック障害は死に対する恐怖から場所や時間を問わず発作的に発症するのに対し、社会不安障害は人や社会に対する恐怖なので、特定の場面(人や場所)で発症するところが異なっているのですね。

・社会不安障害の人が恐怖を感じる場面として、最も多いのが「初対面の人や顔見知りだが親しくない人との会話」と「複数の人の前での発言やスピーチ」で、次いで「社会的立場が上の人との面談や会話」、「会社などで電話に出る」、「受付などで用件を伝える」、「人の前で文字を書く」、「あまり親しくない人と食事をする」、「催しやパーティに参加する」などなのです。

・人前でスピーチをしたり、人から注目を集める場面において、誰しも不安を感じる事がありますが、しかし、それが原因で日常生活に支障をきたすような事はなく、通常はそういった場面に慣れるうちにアガリにくくなるものなのですね。

・これに対して社会不安障害(SAD:social anxiety disorder)は、非常に強い不安を感じるあまり、震えや吐き気などの身体症状を伴い、そのような場面になかなか慣れないため、しなければならない事であっても次第にその事を避けるようになり、日常生活に多大な影響を及ぼすようになっていきますので、引きこもりやニートの背景因子でもあるとも言われています。

・社会不安障害の人は、強い不安や緊張、恐怖を感じると様々な症状が身体に現れます。
頭が真っ白になる、声が震える、 声が出ない、手足が震える、動悸がする、 口が渇く、赤面する、汗が出る、吐き気がするなどの症状が現れるのですね。

・社会不安障害の人は、こうした不安症状を避けるため、また人に知られたくないと考えるあまり、周囲の人々との接触や人前での活動を避けるようになり、日常生活にも支障を及ぼす事になってきます。

・また、社会不安障害は、内気だとか恥ずかしがり屋といった性格の問題ではないので、症状が慢性化すると、うつ病やパニック障害なども併発する危険性もありますので、精神科などの医療機関での早期の治療を要します。

・「自殺を考えたことがある」という社会不安障害の人の割合はうつ病の人よりも多く、治療としては、精神科において薬物療法と心理療法を併用するかどちらか単独で行われます。

・薬物療法ではSSRI(抗うつ剤の一種)を使った治療が効果的であるといわれていて、心理療法では認知行動療法、自律訓練法などが有効でSSRIと同等の効果があるとも言われています。

2010年9月6日月曜日

PTSD(心的外傷後ストレス障害)

・心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは、心に加えられた衝撃的な傷が元となり、後になって様々なストレス障害を引き起こす疾患のことですが、PTSDと診断するための基本的症状が1ヶ月以上持続している場合はPTSD、基本的症状の持続が1ヶ月未満の場合にはASD(急性ストレス障害)と診断されます。

[基本的症状]
(1)回避:トラウマの原因になった障害、関連する事物に対しての回避傾向。
原因となった外傷的な体験を思い出すような状況や場面を、意識的あるいは無意識的に避け続けるという症状と感情や感覚などの反応性の麻痺という症状を指します。
(2)過覚醒:精神的不安定による不安、不眠などの過覚醒症状。
交感神経系の亢進状態が続いていることで、不眠やイライラなどが症状として見られます。
(3)再体験:事故や事件、犯罪の目撃体験等の一部や、全体に関わる再体験(フラッシュバック)。

原因となった外傷的な体験が、意図しないのに繰り返し思い出されたり、夢に登場したりします。
・強い衝撃を受けると、精神機能はショック状態に陥り、パニックを起こす場合がある。その機能の一部を麻痺させることで一時的に現状に適応させようとするが、そのため、事件前後の記憶の想起の回避や忘却する傾向、幸福感の喪失、感情鈍麻、物事に対する興味や関心の減退、建設的な未来像の喪失、身体性障害、身体運動性障害などが見られ、特に被虐待児には感情の麻痺などの症状が多く見られます。

・PTSDを治療するには、時間の経過を待つのではなく、トラウマ体験を過去の事として終わらせる必要があり、受けた傷の圧力を軽減させるためには、心の中に秘めるのではなく、その体験に向き合い、その事について話す事が、体験を過去の事として終わらせる為の重要なことなのですね。

・トラウマの治療と同様に、後遺症を深刻化させないための重要な対策にもなるので、専門的な知識を持った専門職や医師の心理療法を受けることが有効ですが、気分の深刻な落ち込み、入眠困難、中途覚醒などの症状によっては薬物療法も必要になります。

・PTSDの回復とは、事件を繰り返し整理し、異常な状況や事件を思い出すことによる無力感や生々しい苦痛に襲われなくなる状況や、それに強く影響されず、最低限の生活ができるようになった状況を指し、治療としては、PTSD発症のきっかけとなった事件後の心と身体、生活の変化を自覚し、元に戻す作業が行われます。

・PTSDを治療するには、通常、薬物療法と心理療法の双方が用いられます。
心理的外傷となる出来事への情緒的な反応を解決するには、薬物療法など併用しながらの、ナラティブセラピー*が最も有効だと考えられていますが、近年ではEMDR*も効果的な治療方法として注目を集めています。


*ナラティブセラピー (Narrative therapy) とは、
クライエントの自主性に任せて自由に記憶を語らせることによって、単なる症状の除去から人生観の転換に至るまで、幅広い改善を起こさせることを目的とする心理療法のこと。

*EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing)は、左右に振られるセラピストの指を目で追いながら、過去の外傷体験を想起するという心理療法(眼球運動による脱感作および再処理法)で、PTSDを始めとして、パニック障害、恐怖症、解離性障害などへの有効性が知られています。

2010年9月5日日曜日

パニック障害

・パニック障害は、不安発作(パニック発作)といわれる、予測のできない急性の強い不安の発作を繰り返す症状を特徴とする精神障害の一つの不安障害なのですね。

・発症に至る完全な原因は判っていませんが、何らかのストレスが原因となり、自律神経のバランスが崩れ、神経伝達物質の変化(過敏や過活動、あるいは機能不全)によって引き起こされるものと考えられていて、乳酸、炭酸ガス、カフェインなどに過敏で発作が誘発されやすく、過労、睡眠不足、風邪などの身体的な悪条件や、日常生活上のストレスなど、非特異的な要因も、発症や発作の誘因になるとされています。

・症状としては、危険でもないのに、動悸、心悸亢進、心拍数の増加、発汗、窒息感、胸痛、胸部不快感、嘔気、腹部の不快感、目眩、異常感覚(感覚麻痺)、死ぬことに対する恐怖など、予測のできない強い恐怖や不快を感じるが比較的短時間で治まります。

・パニック発作自体は、生命身体に危険を及ぼすものではありませんが、発作を繰り返し慢性化すると予期不安や、長期化すると広場恐怖(一人で外出できなくなったり、引きこもりがちになる)などが生じてきます。

・治療法としては、パニック障害は、発作の不可解さと、発作に対する不安感によって悪化していく疾患であり、医師が明確に症状について説明し、心理教育を行うことがすべての治療の基礎となります。

・治療法としては、抗うつ薬や抗不安薬などによる薬物療法と心理療法(認知行動療法や内観療法、森田療法、自律訓練法など)により行いますが、薬物療法と心理療法を併用することが効果的です。

・専門医のいる医療機関で治療を進めることと、専門的な知識と経験がある専門職の心理的なカウンセリングを受けることが有効です。

2010年9月4日土曜日

不安神経症

・不安神経症には、大きく分けて全般性不安障害に分類される慢性の不安(予期不安=対象のない怖れ)とパニック障害に分類される急性の不安(不安発作)の2つのパターンがあるが、どちらも精神障害の一つの不安障害なのですね。(パニック障害については次項で述べるので、この項は全般性不安障害について述べます。)

・発症に至る完全な原因は判っていませんが、神経質で不安を持ちやすい性格の人に多い傾向があり、何らかの精神的なショック、心配ごと、悩み、ストレスなどの精神的原因と思われることもあるが、まったくないこともあり、過労、睡眠不足などの身体的原因が引き金になることもあるのですね。

・症状としては、過敏、緊張、落ち着かない、イライラする、集中困難などの精神的症状と、筋肉の緊張、頭痛、震え、動悸、息苦しさ、目眩、下痢、不眠(寝つきが悪い、途中で目が覚める)などの多様な身体的症状(不定愁訴)があります。
・何かにつけて過度の不安や心配(予期不安)が付きまとい、それが慢性的に続くのが特徴で、不安に伴ういろいろな精神的、身体的症状が現れます。

・治療法としては、全般性不安障害には、パニック障害のような決まった薬はなく、抗不安薬などによる薬物療法と心理療法(行動療法や認知行動療法、森田療法、自律訓練法など)により行いますが、薬物療法と心理療法を併用することが効果的です。

・専門医のいる医療機関で治療を進めることと、専門的な知識と経験がある専門職の心理的なカウンセリングを受けることが有効です。

2010年9月3日金曜日

強迫性障害

・強迫性障害(強迫神経症)は、強迫症状と呼ばれる症状に特徴付けられる精神障害の一つで、強迫観念(本人の意志と無関係に頭に浮かぶ、不快感や不安感を生じさせる観念)と強迫行為(不快な存在である強迫観念を打ち消したり、振り払うための行為)からなる不安障害なのですね。

・発症に至る完全な原因は判っていませんが、共通点として、元来几帳面であったり、融通が効かずに生真面目な性格傾向が挙げられる事が多くみられます。

・その人の意思に反して、ある考えが繰り返し頭に浮かんできたり、ある行為を繰り返さないとと安心できなくなる強迫症状には、不潔強迫、加害恐怖、被害恐怖、縁起強迫、数唱強迫、確認強迫、高所恐怖などがあります。
・この他にも些細であったり、気にしても仕方の無い事柄を自他共に認める状態にあっても、そのことにに囚われ(強迫観念)てしまい、その不安を避けるために生活に支障が出るほど過度に確認や詮索を行う(強迫行為)という行動をしてしまうのですね。

・但し、これらのことは軽度な部分では、日々の生活において誰しも経験していることなのですね。

・治療法としては、基本的には抗うつ薬などによる薬物療法や心理療法(行動療法や認知行動療法、森田療法、自律訓練法など)により行いますが、薬物療法と心理療法を併用することが効果的です。

・専門医のいる医療機関で治療を進めることと、専門的な知識と経験がある専門職の心理的なカウンセリングを受けることが有効です。

2010年9月2日木曜日

抑うつ神経症

・抑うつ神経症は、悲哀、抑うつ、制止などのうつ状態を主症状とする神経症の一つで、うつ病ほど症状は重くないものの、慢性的に軽度のうつ状態が長く続くことを言い、以前は神経症に分類されていましたが、国際的な診断基準で神経症という病名は使われなくなってきたことで、現在は気分障害の中の気分変調性障害に分類されています。

・原因としては、近親者の死、親しい人との別離や転居、転職などの対象喪失が誘因(遺伝的な素質や性格、ストレスなどが原因)となることが多く、特に幼少期に大切な人との別離や喪失を体験している人に多い傾向があるのですね。

・症状としては、悲哀感、落ち込み、焦り、不安、不眠などが特徴的なものですが、うつ病と異なる部分は、気分の日内変動がみられない、人格障害を伴う、不安や焦燥感が強い、環境の変化に反応して症状が動揺しやすい、抗うつ薬など薬物療法が効きにくい、などにより概念的にうつ病とは区別されています。

・不安神経症、パニック障害、自律神経失調症、強迫性障害、人格障害、統合 失調症、摂食障害などでも、このような症状(いわゆる「うつ状態」)が出ることがありますが、これらの病気とうつ病を併発している場合もありますので注意が必要です。

・治療法としては、基本的には抗うつ薬と抗不安薬などによる薬物療法や心理療法(精神分析的精神療法や森田療法、自律訓練法など)により行いますが、場合によっては、薬物療法と心理療法を併用することが効果的です。

・専門医のいる医療機関で治療を進めることと、専門的な知識と経験がある専門職の心理的なカウンセリングを受けることが有効です。

2010年9月1日水曜日

自殺願望と希死念慮

端的に言えば、
・死にたいという思いが「自殺願望」で
(生きているのが嫌だから死にたいと思ったり、死ねるものなら死にたいと抱く思い。)

・死ななければならないという思いが「希死念慮」なのですね。
(死ななくてはいけないと思い込んでしまったり、死にたいという言葉が頭に浮かんで離れないなど自殺することを義務的に思っている。)

死にたいと考える「自殺願望」や、自殺をしたいと願う「自殺志願」、実際に自殺しようと行動に移す「自殺企図」、客観的に理解しがたい理由で死にたいと願う「希死念慮」などの欲求は、生きているからこそ現れる現象なのですね。
何故なら、生きているという実感がなければ、死にたいと思うことはないはずですからね。

死ぬことは、決断さえすれば計画的であろうが衝動的であろうが、いつでも出来ます。
今、本当に死にたいと思うのなら、やりたかった事をしてから、行きたかった所に行ってから、見たかったモノを見てから、それからもう一度考えてみては如何でしょうか。


私がこの職業に、真剣に取り組むキッカケになった友人がいます。
彼は、「自殺願望」から解放されて約10年になる、現在は50歳代の家族のいる既婚者ですが、20代になって発症した“うつ”と20年近く付合ってきました。

当時、何か少しでも嫌なことや辛いことがあると、「死にたい!」と口癖のようにいっていましたので、とにかく理由も時間も関係ないので、死にたくなったらリストカットをする前に連絡をしてくるという約束をしていました。

彼には、ペット(犬)を飼うことを勧めて、生き物と触れることでの喜びや嬉しさを経験してもらいました。
ペット(犬や猫)は、飼い主が悩んでいたり苦しんでいることを、誰よりも敏感に察してくれますのでね。

それと、ペット(犬)を飼えば食事や排泄物の世話、運動のための散歩など、飼い主なしではペット自身が生きて行くことができない現実に直面しますので、自分自身も生きているという実感を忘れることができないのですね。

また、日々、思った事や感じた事、しようと思った事や実際にした事を時系列順にノートに書いてもらい、その時その時の満足度を客観的に自己採点してもらい、思考・認知のパターンを変えることで、彼の中で問題となっている感情や行動を変えていきました(認知行動療法)。

そこで彼の意識は、自殺願望など全くない人より、多少死にたいと思う事がある人の方が現実はマトモなのではないかと、考えるようになったのです。

彼は、自分の病気の“原因探し”や“原因退治”は止めて、今の現実だけを受け止めようと決めて、かねてからやりたいと思っていた山登りを始めたのです。
しかも、自分のレベルよりも、少し難しい山にチャレンジを始めたのです。

その理由を聞くと、頂上を目指して登っている時の「家でペットが待っている」から「生きて帰らなければ…」という思いと、頂上に達した時の達成感は「生きる喜び」そのものだと言っていました。


死にたくなるのは、脳の神経回路の誤作動ですから、服用する薬にも注意が必要です。
特定の抗うつ剤の中には、“自殺促進剤”と揶揄されるほど自殺願望を強める作用も持っているものもありますし、希死念慮が強く現れるという副作用を持っている薬もあります。

薬には、効果(ベネフィット)だけでなく、副作用(リスク)が必ずあります。
副作用をなるべく抑え、効果を最大限に引き出すためには、症状と体質に合った薬を服用することが、何よりも大切なことなのですね。