対人恐怖症は、恐怖症の一つで社会的接触を恐れて、そのことを避けようとする症状を示すものです。
・その結果として、社会的生活に支障をきたしたり、社会生活において必要な人間関係の構築ができなくなったりするもので、人前で緊張して思うように会話が出来なくなってしまうとか、赤面してしまったり、人の視線が必要以上に気になってしまうという形で現れてくる、特に日本人に多く見られるものなのですね。
・対人恐怖症は、個性を尊重する外国(特に欧米)では殆ど見られない症状で、日本特有の文化依存症候群とされていて、そのままTaijin kyofusho symptoms (TKS) と呼称されています。
・対人恐怖症は、「他人からの攻撃」や「社会的に受け入れられない」とか「他人からの非難や誹謗」といった西洋の社会においての一般的な他律的な恐怖よりも、「他人を傷付けてしまう」や「他人に迷惑をかける」とか「他人を怒らせる」といった自分自身に対する自律的な恐怖という症状が見られるものです。
・言い替えれば、元々欧米ではその人その人の個性を大切にして尊重しますので、自分自身が他人と違っていても気にしませんが、日本のような集団行動を重視する社会においては、欧米などの個人主義の国に比べて人間関係(対人関係)が崩れることは、社会的な孤立を意味するため、この「社会的な孤立の恐怖」から症状が起こりやすくなっているのではないかと推察されています。
・対人恐怖症は、社会不安障害と同一視されることがありますが、必ずしも同じではなくて、回避性人格障害や身体表現性障害などの他の精神疾患と概念的には重複する疾患だともいわれています。
・また、対人恐怖症は、引きこもりを伴うことが多く見受けられます。
・対人恐怖症は「対人という場面で不当に強い不安や緊張を生じ、その結果人から嫌がられたり、嫌われる事を恐れて、対人関係を避けようとする神経症である」ともされ、赤面恐怖症、視線恐怖症、表情恐怖症、発汗恐怖症など様々な種類があります。
・対人恐怖症の中でも、妄想的確信を持つ恐怖症を「重症対人恐怖症」もしくは「思春期妄想症」と呼ぶこともあります。
・男性の場合は、周囲から圧迫を感じる感情、気分などの漠然とした対人恐怖、あるいは視線恐怖が殆どで、他者と対立する自己への不安がみられます。
・それに対して女性の場合の対人恐怖は、視線恐怖、醜貌恐怖、赤面恐怖と関連していて、服装、容姿、言動など他人の目に曝される自己の身体像へのこだわりがあります。
・対人恐怖症の治療法としては、認知行動療法、森田療法、自律訓練法などの心理療法が効果を上げていますので、専門医のいる医療機関で治療を進めることと、専門的な知識と経験がある専門職の心理的なカウンセリングを受けることが有効です。
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