2010年8月24日火曜日

アダルトチルドレン(AC)

・アダルトチルドレンとは、親による虐待や、アルコール依存症の持つ親がいる家庭や機能不全家庭(対立や不法行為、身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、ネグレクトなどが存在する家庭)で育ち、その体験が成人になっても心理的外傷として残っている人を言い、破滅的であったり、完璧主義であったり、対人関係が苦手であるといった、いくつかの特徴があります。

・語源は「Adult Children of Alcoholics(アルコール依存症の親のもとで育ち、成人した人々)」で、この言葉は、1970年代、アメリカの社会福祉援助などのケースワーカーの人たちが、自分たちの経験から得た知識により作り出したものであり、学術的な言葉ではなかったが、近年はその本来的な意味をあらわすのにアダルトサバイバー(Adult Survivor)が専門家の間では使われるようになってきています。

・アダルトチルドレンは精神医学的概念ではないために診断名にはならないが、その症状により、うつ病、パニック障害、社会不安障害、全般性不安障害、解離性障害などの精神疾患や境界性人格障害、依存性人格障害、自己愛性人格障害、回避性人格障害などの人格障害として診断されることがあります。


[心理的特徴]
1.対人不安。
敵か味方かで人を判断する。人の評価を気にし過ぎたり、嫌われたくない思いが強過ぎて、その不安から人との距離を取り過ぎます。

2.対人依存。
見捨てられることに敏感で過剰にこだわる。子供の頃の甘えることができず満たされなかった思いを取り戻そうとします。

3.決断の回避。
決定すべきことに対して、自己判断しようとせず他者に意見や判断を求める。他者の意見や判断に従って望まない結果になると、その他者を恨む傾向があります。

4.自己批判と他者批判。
厳しすぎるほど自己を批判をし、または厳しすぎるほど他者を批判します。

5.思考の二極化(曖昧性の排除)。
白か黒か、プラスかマイナスか極端な思考の二極化がある。中間の曖昧性がなく選択肢も少なく自分を追い込み、思考や視野の狭さにも直結します。

6.過去に対する怒り。
過去と同じような事態に陥ると怒りから感情的に反応する。親への愛情不足だった怒りが心の奥に残っています。

7.自己信頼感の欠如。
自己不信と著しく低い自己評価をする。繰り返し非難されたことで自尊心が崩壊しています。

8.不完全感と完璧主義。
「出来た」という感覚や達成感を持ちにくい。何か間違っているのではないかという、漠然とした不安から過剰な完璧主義に陥ります。

9.過度なマイナス思考。
どうすればいいのか、何が正しいのか考え過ぎる傾向がある。否定的に育てられたことで何ごともネガティブに考えてしまう傾向もあります。

10.漠然とした不安感や空虚感。
現実に今生きている世界の実感がなく、ベ-ルに包まれて見ているような感覚でいる。生きることの実感や意味が見出せなでいます。

11.フラッシュバック。
過去を我慢し感じまいと過ごしたために、過去の記憶が思い出せないでいたり、思い出さないようにしていたものが、突然、過去の傷ついた記憶が、その場で再現されているように蘇ります。


[行動パタ-ン]
1.物事を最初から最後までやり抜くことが困難です。
家庭や両親が子供に対する約束を守ることが稀であり、約束や責任を果たすことの重要性を学んでいません。

2.本当のことを言った方が楽な時でも嘘をつきます。
自分の気持ちを抑えて成長してきたので、正直に自己表現をすることを学んでいない。また、正直な自己表現が家庭では許されなかったので、正直に自己表現することを恐れています。

3.情け容赦なく自分を批判します。
親の期待に過剰に合わせて生きてきたので、親の期待に合わせられなかった自分を責める傾向がある。また、褒められることが少なかったので自己価値が低く、自分は褒められるに値しないと感じています。

4.楽しむことが出来ません。
親の期待に過剰に合わせた結果、自分の感情を抑えこんでいたので感情を満たし楽しむことを経験しておらず、更には楽しむことを恐れてもいます。

5.真面目過ぎます。
親の期待に過剰に合わせてきたので、好きなことをすることを自分に許可していない。 自らの家庭が歪であったため、一般的な正常とは何か判らないと感じています。

6.親密な関係を持つことが難しいです。
親から愛してもらえなかったという慢性的な淋しさを感じている。人を愛してその愛を失うことを極端に恐れ、その恐れゆえ親密な関係を自ら拒んでいます。

7.自分のコントロ-ル出来ないと思われる事態に過剰に反応します。
自分に自信がないため、不測の事態に対応する能力の欠如を感じている。不測の事態については、自分でコントロ-ル出来ないと恐れています。

8.他人と自分は違うと考えています。
親密な人間関係を形成出来ないなどの劣等感から孤独を感じていて、孤独感ゆえに自分は人とは違うと考えています。

9.頑張る事に生きがいを感じています。
自分を追い詰めるほどに何かに努力していても満たされず、成果をもたらしていても、次のゴールを目指して頑張り続け、自分を犠牲にしても相手に奉仕し、自分を甘やかしてあげる事が出来ません。


[回復へ]
・基本的には、なぜアダルトチルドレンになったのかの成り立ちを理解し、専門的な知識を持った専門職や医師の心理療法を受けることが有効であるが、カウンセラーも兼任していて、クライエントと向きあい回復へのサポートを行っている医師もいます。

・また、アダルトチルドレンには、数多くの自助グループ(同様の困難や問題、悩みを抱えた人によって作られた支援グループ)が存在し、アダルトチルドレンを克服するに当たって大きな支援となっています。

・過去を振り返り、親に拘束され、支配され、苦しんできたことを認めて、否認していた怒り、抑うつ感、罪悪感、絶望感を表現し、理想化され、幻想化された親の存在を捨てます。

・理想とする生き方や自分のビジョンを描き、現実社会で行動を起こす。「そのままの自分でいいこと」と、自分を認めることが出来れば、機能不全家族の中を生き抜いた自分を信頼することが出来ます。


●インナーチャイルド

・インナーチャイルドとは、自分自身の中に存在する「内なる子供」で、失われた幼少期に本当はいるはずだった自分であり、本来の自分の姿だと言えるもので、幼少期の傷ついた心の傷(体験)が潜在意識化したものです。

・幼少期に、自分を表現することが許され、伸び伸びと過ごすことが出来た人は、家庭や社会の中で、「ありのままでよい」ことを知っていて、自分に自信がもてるので他人を受け入れることが出来ます。

・自分らしくいることを許されなかった幼少期を過ごした人は、ありのままの自分でいることはいけないことだと感じているので、本当の自分の姿や自然な感情を押さえ込んでしまい、自分に自信を持つことが出来ないし、自分がありのままでないので、当然、他人がありのままであることも許すことが出来ません。

・インナーチャイルドとの出会い(心の傷の再現)は、本来の自分を知るきっかけとして大切なものだが、辛い過去を思い出す事(感情の再体験=怒り、恐れ、悲しみ、憎しみなど)でもあり、過去を受け入れることでもあります。


●ワンダーチャイルド

・ワンダーチャイルドは、生まれながらの純真で自由な子供の心で、快活で明るく生き生きとした創造的な心のことです。

・自分自身の中に存在するインナーチャイルドが癒されて、幼少期の傷ついた心の傷から解放されると、本来の子供の心が持つ楽しさや前向きな姿勢、好奇心などが、問題行動や神経疾患、精神疾病などを防ぎ、自分らしい人生を歩んで行けます。

・幼少期に自分らしくいることを許されなかった事や幼少期に楽しめなかった事を、インナーチャイルドと出会い癒す事(過去を受け入れて解放する)で、ありのままの自分が人生を楽しませてくれます。

・傷ついたインナーチャイルドを癒せるのは自分自身でしかなく、自分の成長に於いても不可欠なものです。

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