・摂食障害(中枢性摂食異常症)は、主として先進国(痩せていることが美しいとする文化的な背景のある地域)の思春期や青年期の女性に多く(男性は5%程度)発症する、神経性無食欲症(拒食症)と神経性大食症(過食症)に大きく分類(他に、睡眠関連摂食障害や特定不能の摂食障害がある)される、精神疾患の一つで依存症の一種で、どちらも体重に対するボディイメージが障害され、自分を評価するときに体型や体重を過度に重視する点が特徴です。
・原因としては、人間関係の問題による心理的なストレスや不適応、コミュニケーションの不全などとされているが、間脳視床下部食欲中枢に障害が起きているという説もあり、拒食症の場合には両親から多大な干渉を受けているために自立性に欠けていると感じ、拒食という行為によって個性や自立性を得ようとしているものです。
・過食症は、自立することに強い不安を感じ、愛情を求めるために摂食という母性的な行為に固執していると考えられていて、遺伝子の研究や脳画像解析の研究を含め、世界的に様々な視点から解明が試みられています。
・症状として、拒食症の場合は、極端な食物制限、思考力の低下、生理不順、過活動など、過食症の場合は、無茶喰い、自己誘発嘔吐、下剤乱用などの他、抑うつ症状、自傷行為、アルコール乱用などの精神症状を合併することも多く、内科的疾患(電解質代謝異常による不整脈、栄養失調による感染症や貧血、脳萎縮、骨粗鬆症など)を併発することがあります。
・治療法としては、拒食と過食は 周期的に繰り返される場合が多く、食行動異常が注目されやすいが、その背景にある心の問題を解決しないと摂食障害は完治しないこともあるので、解決するには精神分析的心理療法や自律訓練法と薬物療法とを併用し、極度の低体重の場合には入院治療により栄養面への対処を最優先します。
・基本的には、なぜ摂食障害になったのかの成り立ちを理解し、専門医のいる医療機関で治療を進めることと、専門的な知識と経験がある専門職の心理的なカウンセリングを受けることが有効です。
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