オーバードースとは、薬物過剰摂取(drug overdose)のことで、化学物質(医薬品、市販薬品や違法ドラッグ)を、生体のホメオスタシス(生きていく上で重要な機能を、常に正常に保つ働き)が損なわれる程、多量または集中的に摂取し、そのことによって起こる状態や症状、または概念を言います。
・従って、オーバードースという言語は、安全な薬の服用という概念の対にあって、薬物に対して使われる言葉であり、毒物に対して用いる言葉ではないのですね。
・オーバードースは、時に自殺するための手段として行なわれ、自殺願望者が意識的にオーバードースを冒すことがありますが、多くの場合のオーバードースは意識的なものではなく、服用している薬物に対して無知であったり、その薬の説明書の無理解などで起こっています。
・doseとは薬物の1回あたりの適正服用量のことですが、過剰や超過を意味するoverを付加した複合語のOver Doseの頭文字をとり、ODと略されています。
・オーバードース(OD)の目的には、「自殺目的」「多幸感を得る為(向精神薬、麻薬や覚醒剤の摂取)」「自傷的行為」「現実逃避」「脱力感(トリアゾラム、大麻、LSD)」など多様性があります。
・自殺志願者によるオーバードースの場合、精神科用医薬品を用いたオーバードースが既遂(製薬会社自体が、特に精神科用薬品からはオーバードースの危険性を事前に排除している)に至る事はまれですが、どのような薬かを問わず、繰り返しオーバードースを行うことにより、肝臓や腎臓など内臓の機能低下を含めた悪影響も懸念されますので、その行為自体に周りの人達は注意を向けなければなりません。
・また、睡眠導入剤などの睡眠効果のある薬や精神系の薬を大量服用した場合、一時的な記憶障害が症状として現れるときもあります。
具体的には大量服薬した前後の記憶がないとか、一時的に解離のような症状を呈するなどですが、これらは一時的なものであり、薬が抜ければ回復していきます。
オーバードース(OD)の特徴
・殆どのきっかけは、気分を鎮めたい、何となく不安、何となく落ち着かない、何となくイライラする、何となく寂しい…などで、始めは服用量が少なかったものが、薬に慣れてくるので服用量が増大していきます。
・オーバードーズを行った後は、不安やイライラなどの不快感から解放されることが多く、そのことが癖になっていくことで、習慣化されやすいとされています。
またオーバードースは、人格障害を伴っていることも多くあります。
・オーバードースの理由としては、孤独感、寂しさ、ストレスの緩和、怒り、愛情の確認、自己処罰、自己破壊、自殺願望、助けを求めるため、クライシスコール、相手をつなぎ止めるため…など様々ですが、悲痛な心の叫びの表現の仕方の一つであることに違いはありません。
・オーバードースの原因としては、孤独感、寂しさ、不安などの不安定な感情、怒りなどの破壊的な感情と衝動、解離症状などがあげられます。
・解離症状(離人感など)があると、心も体も自分が自分でないような感覚に陥り、極めて不快感を覚えてきますので、それをオーバードーズを始めとする自傷行為によって、現実感を取り戻そうとすることも多々あります。
その、極めて不快な解離症状はなぜ現れるのでしょうか。
・多くの場合は、幼い頃に精神的、肉体的な虐待や恐怖体験をした可能性があり、自分を麻痺させることで、恐怖や苦しみを緩和させようとするためです。
・その体験が、幼少であればあるほど、自分自身への攻撃が強まり、オーバードーズを始めとする自傷行為を引き起こす要因になるのですね。
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